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令和3年7月、東京都より一時支援金等の受給者向けの緊急追加支援 オンライン相談無料

さくらい行政書士事務所 東京都の緊急追加支援

先月上旬、突然東京都産業労働局が発表した、一時支援金や月次支援金等の受給を受けた事業者(個人事業主含む)に対し、5種類の緊急追加支援が発表され、昨日7月1日に東京都中小企業振興公社から公募要領が出ました。補助率が4/5の80%というのが凄いです。

去年の国の持続化給付金に比べると、また時短要請に応じた飲食店向けの都道府県からの支援金と比較すると、小規模だと非難された一時支援金。新型コロナ感染症の影響が長期化する中で月次支援金も始まりましたが、まだまだ売上減少し、先行きの不安がある事業者ばかりです。 東京都が今回始める補助金は、一時支援金等の受給者に限っていることが特徴です。

公募の詳細は、東京中小企業振興公社のサイトに出ていますが、ざっくり眺めて気づいたことなどを簡単に説明します。行政機関のホームページというのは、それぞれのデザインや構成がまちまちなので、見つけるのに一苦労しますね。少なくとも地方自治体のホームページはデザインや構成を統一すれば良いのになあって思います。

尚、東京都は「助成金」という単語を使っていますが、「助成金」=厚生労働省による雇用に関する助成金のイメージが強いので、当職は「補助金」(経産省の経済政策が主)と呼んでいます。

 

販路開拓支援

■補助額の上限は150万円、補助率は4/5、80%というのは非常に高いです。

■対象経費は、①展示会費用(小間代、オンライン出展基本料、輸送費)、②ECサイト出店初期登録費用、③販売促進費(チラシ・カタログ制作、PR動画制作、PR広告掲載、HP制作など)で、それぞれ補助金額の上限があります。(たとえばHP制作だと20万円までなので、実際は100万円かかったとしても20万円までになります。) (また、②は楽天やアマゾンの事業を助けるような施策で違和感がある。自社でEC機能を付加する、カード決済機能を使うのは③のHP制作なのか、だとすると20万円は安い。HP刷新だけで50万円から150万円くらいかかるので、この個別上限額って世の中の相場に合っているのか疑問)

■申請受付期間は、令和3年7月1日から8月31日と二か月間。(あっという間に過ぎてしまいますね)

■申請方法は、10ページくらいの申請書&誓約書を書いて(実印で押印)、添付書類を付けて簡易書留で郵送。(申請書のページ数が多く感じますが、主に企業情報、何に使うかとその金額なので、事業内容の中身詳細はありませんので、所謂、経産省の補助金のような事業計画書はありません)

■募集要領も25ページと良心的です。(経産省の他の補助金は100ページレベルで読みにくい上にミス・誤解が多発します)

■添付書類は、①一時支援金の給付通知書(写し)、②法人は履歴事項全部証明書、個人は開業届出書の写し、③印鑑証明書、④事業税と都民税の納税証明書(これは間違えそう)、⑤その他、展示会の出展要項やECサイトの出店要項(税務申告書類が無いのは良いですね。そもそも支給金や給付金って確定申告書のあれこれ、微妙に違うページを要求、それも収受印付きにこだわる→国税庁に照合すればすぐにわかること、収受印って青丸が薄く、文字に被ると読めないことが多い)

■7月末までの申請だと交付決定は9月頃で経費対象期間の最長来年9月末まで。8月末までの申請だと交付決定は10月頃で、経費対象期間の最長来年10月末まで。

5種類の中では、この補助金がもっとも使える事業者が多いと思います。

 

設備投資支援

■補助額は100万円以上3,000万円まで、補助率は4/5以下、これも80%というのは非常に高いです。

■対象経費は、①製品の製造やサービス提供のために直接使用するもの、②1基(?)100万円以上のもの、③期間内に契約・設置・支払完了の最新機械装置・器具備品(中古はだめみたい)、④設置場所は首都圏内

■申請方法と受付期間は、令和3年7月1日から8月31日と二か月間。これは申請予約期間としており、ネットクラブ会員登録が必要。 申請書類を郵送し、11月中旬までに一次審査(書類)、二次審査(面接)を経て、11月下旬の結果通知。対象期間は令和3年12月から令和5年5月まで。 申請書類はちょっと力が必要です。(経営革新計画並みの印象)

なんで一基100万円以上なの? なんで中古はダメなの? ネットクラブって何? これで緊急支援なの?って疑問だらけです。

 

デジタル技術活用による生産性向上

■補助額は10万円から300万円まで、補助率は4/5以下、これまた80%というのは非常に高いです。

■対象経費は、①ITシステム構築費、②ソフトウエア購入費、③クラウド利用費

■受付期間は、令和3年7月1日から8月31日と二か月間で、交付決定は9月下旬、10月下旬、11月下旬の三回、対象期間は交付決定日から1年間

■申請書は10ページ以上でかなり面倒です。現状からの工数削減がメインのようで、目的がずれている感がする。コロナ禍の中で雇用調整助成金をばんばん出しているのに、もし画期的に工数削減できれば雇用機会が減ることもあり得る。 また、IT活用で考えられることのオンライン化、テレワーク化などはNGです。 「だれがこんなことを考えたのか?」って感じです。特定のIT業者へぶん投げしたのかも知れませんね。こんなことをするのなら、IT導入補助金の制度の中でやれば、それこそ東京都の工数削減になるでしょう。

 

地域資源活用した新製品・新サービスの開発支援

■補助額は200万円~1,500万円まで、補助率は4/5以下、これも80%というのはどれも共通しているのですね。

■事業内容が、新製品・新サービスの開発・改良に対して、①東京都内の地域資源(農林水産物か鉱工業品・生産技術)の活用か、②東京の都市課題の解決に資すること。「パッケージやデザインの変更のみ」や、「食料品加工業における原材料の変更のみ」はNGだそうです。 ハンズオン支援を受けられるというのが特徴。(良い助言もあるでしょうが、そうでないときもあるでしょうね)

■受付期間は、令和3年7月1日から7月31日の期間にエントリーし、申請書を作成・相談会(指導されるのかな?)を経て、8月31日までに申請書(完成版)の提出。いつ交付決定なのか? 公募要領が難解で読む気が失せました。

これって、通常の支援事業じゃないの?って感じます。もう出来レースで予算を付けやすかったのかも知れませんね。 

「食料品加工業者が東京産の原材料に変えて、切り方、温め方、焼き方などを変更した場合」はどうなるのでしょうか? 東京湾の魚なのに千葉県や神奈川県で水揚げされたらだめなんでしょうね。

 

専門家派遣

これはお金ではなく、課題解決・販路開拓・新事業展開等について、「豊富な実務経験と支援実績を有する中小企業診断士等の専門家」が最大4回、アドバイスしてくれるそうです。 受付期間は7月7日から10月29日まで。申込書はメールで送られて、受給確認できるものを提出するだけの申請。

えらい簡単ですね。 アドバイスだけ?って感じがします。経営分析、事業計画作成、融資申請、補助金申請など何かアウトプットを明確にして欲しいですね。

 

東京都の事業者に限らず、一時支援金受給者に限らず、アドバイス程度ならば、当職へいつでもお問合せください。 過去3年分の決算書と、商品や企業情報、HPのURLなど基本情報を送って頂ければ、いつでもZoom面談に応じます。 顧客別・商品別売上データや仕入先・競合他社・販売先などのざっくりした情報があれば、更に深い話がアドバイスができるかも知れません。

 

備考

どの補助金も金額に関係なく、報告時のエビデンス集めや細々としたルールに辟易する人がほとんどです。 お金は報告後振込だから、1年以上先。 途中で放り出したら、全額自腹。 そもそも、補助金がなくても、遅かれ早かれやるべき事業とその経費という考えで取り組んだ方が良いでしょう。

 

こういう補助金申請のサポートをやっていると、経済政策やコロナ対策なのに、マイナス効果しか残さないケースがしばしば起きます。江戸時代や明治時代の行政官の方が人徳がある人が多かったのではないかと思うこともあります。(理不尽なことも多々あったでしょうし、そもそも貧しく、汚かったので比較にならないですが)