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古物商営業とは(許可申請増加中)

さくらい行政書士事務所 古物商営業とは オークション メルカリ ヤフオク

大量生産によって製造原価を下げ商品を安く作れば作るほど売れる時代は遠い昔です。今は、消費者ニーズを捉えた商品で、サービスや顧客満足度など付加価値をつけて販売するマーケテイングの時代。モノを購入=「所有」することが前提ですね。

しかし、既にほとんどのモノが身の回りにあり、欲しいモノが減っていませんか? 必要なモノをその都度買っていればモノに溢れてしまいます。所有するモノが多くても使用するモノはその一部の状況。 必要な時、必要なモノを、必要な分だけ使用する「使用」の時代が広がっているようです。 低価格のレンタカー屋さんやさまざまなシェアリングサービスのユーザーが増えてきているのがそういう理由でしょう。 自分が「所有」し「使用」していたものを、不要になったから、もっと良いモノ、別のモノに替えたいと、メルカリやヤフオクに出品し販売することも拡大しています。

一方、①一度使用されたモノ、②使用されていなくても使用のために取引されたもの、③これらのモノに幾分の手入れをしたモノは「古物」と呼ばれ、昭和24年に制定された「古物営業法」によって古物売買を営む者は、都道府県公安委員会から古物商営業許可を取得し、標識掲示、営業所と管理者の設置、相手方の身分確認、取引の帳簿付けやその保存、不正品と疑わしい場合の警察署への報告などの義務があり、罰則もあります。 昭和24年というと戦後4年です。敗戦のショック、米軍占領下のモノが無い時代ですから、窃盗事件は日常茶飯事だったのでしょう。

メルカリやヤフオクはオークション市場の場を提供しており、直接古物を売買していません。古物競り斡旋業者として「古物営業法」の届出をするだけです。 売買する利用規約に関係法令の遵守を入れていますが、一般の人にとって「古物営業法」を知っている人は少ないでしょう。 自分が使用していたモノをオークション市場で販売する限りは古物商を営んでいることにはならないという解釈ができます。 しかし、事業者も参加しており、個人でもかなり売り上げている人もいて、グレーゾーンも広がってきています。 アマゾンでは出品業者に古物商許可番号の掲載を求めています。

古物商許可件数は2008年度 64万件から2018年度77万件に増えており、現存する古物商業者は1000万者くらいあるのではないか思います。ちょっと多過ぎる感じです。

中古車屋さん、骨董品屋さん、金券屋さんの数が激増しているとは思えないので、インターネットを利用する個人事業主や、古物も扱う様々な業種の事業者が古物商許可を取得し、「使用」の時代に合わせているのでしょう。

「古物営業法」の目的である「窃盗の防止」「被害の迅速な回復」を実現・維持するには業者数が多過ぎてザル状態になってきているのではないかと思います。 実際、窃盗事件での盗品の処分先として、年間2万件弱が古物商業者で現金化されていることが発覚していますが、実数はその何倍もありそうな気がします。

 

尚、個人の方もすぐに古物商許可の申請は可能です。許可申請にはちょっとお高い19,000円の申請手数料と、申請から40日程度の時間はかかります。詳しくはこちらをご覧ください。