改正相続法のポイント

元気なシニアとそのご家族の皆さん、遺言や相続関連の手続きの不安を解消します。ご自身で行う際の注意点・要領などをこっそりお教えします。


1.配偶者居住権

相続開始時に配偶者が被相続人の所有していた建物に居住していた場合、その配偶者が居住建物の所有権を相続しなくても原則として終身の間、無償で居住し続けることができる権利です。この権利、遺言、遺産分割、または家庭裁判所の裁定により設定さていなければならず。 その建物を相続した所有者は、配偶者居住権の設定登記する義務があります。 尚、相続税としては「配偶者の税額控除」による配偶者を保護する制度もあります。

 

2.配偶者短期居住権

これも相続開始時に配偶者が被相続人の所有していた建物居住していた場合ですが、相続開始時から最低6か月間、または遺産分割により建物の帰属が確定した日まで住み続けることができる(すぐに出ていかなくても済む)権利です。 これは遺言や遺産分割による設定ではなく、要件を満たせば法律上当然に発生する配偶者の権利です。

 

3.遺産分割前における預貯金の仮払制度

被相続人の預貯金は遺言または遺産分割協議が整うまでは、配偶者であっても引き落とせなかったのですが、一定額については単独で引き出せるようになりました。法定相続分2分の1の配偶者の場合、金融機関ごとに預貯金額X3分の1x2分の1、即ち6分の1(600万円の残高なら100万円)まで引き出せるということです。ただし、一金融機関で上限は150万円までです。

 

4.自筆証書遺言方式の緩和

従来の自筆証書遺言は、全文・日付・氏名を自書し、押印が必要でしたが、添付する財産目録は第三者がパソコンで作成しても、預金通帳などのコピーでも可能になりました。(財産目録の各ページに署名・押印は必要) 加えて、2020年7月10日からは法務局で自筆証書遺言の保管制度が始まります。本人自らが法務局へ持ち込み必要ですが、本人以外は閲覧できず、遺言者が亡くなった後は遺族がどこの法務局ででも検索できるシステムになっています。 要は、遺言は書いた筈なのに遺族が見つけられないという事態を回避しようとしています。また、従来は家庭裁判所での検認が必要でしたが、この制度を利用すると検認不要なので、かなり使いやすい方式になると思います。

他にも遺言執行者関連遺留分制度特別寄与分などの改正が行われています。


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