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新型コロナに打ち勝つ⑤ 雇用調整助成金

さくらい行政書士事務所 新型コロナ 雇用調整助成金

ネットで「休業手当は一日¥8,330もらえる」、「給料の9割が補償される」という誤解が氾濫してしまいました。

厚生労働省の政策の一つである「雇用調整助成金」は、本来、景気変動や産業構造の変化など経済的理由によって事業縮小を余儀なくされた(不景気で人件費に手を出さざる得ない)場合に、従業員を解雇せず休業、教育訓練、出向などを実施する事業者に対して助成金が支給されるものです。

経営難という企業側の責任によって工場の操業を停止し、従業員に対し休業手当が支給されることが代表的な例ですが、ストライキなど企業側の責任ではない理由で操業できない場合は休業手当は支給されないものです。休業手当の割合は企業毎に労働協約などで定め、労働基準法は平均給与の60%以上とすることを義務付けています。 今回の新型コロナウイルス感染症の影響は、企業側の責任ではなく、もちろん従業員の責任でもありませんが、国が雇用維持のために「雇用調整助成金」に特例措置を設定したものです。 従い、従業員にとってもらえる休業手当は、勤める会社によって割合が違い、平均給与によって額が変わりますので、¥8,330の固定額でも、給与の一律90%になるとは言えません。 


雇用調整助成金の特例措置の主な内容

①対象は新型コロナ感染症によって影響を受ける全業種の事業主

②緊急対応期間:4月1日~6月30日

③生産指標要件:3か月で10%以上低下 ➡ 1か月5%低下へ短縮

④1年間の支給限度日数100日に上記対応期間はカウントしない

⑤企業が負担する休業手当に対する助成率は、
 中小企業2/3 ➡ 4/5、または解雇等なしの場合9/10
 大企業1/2 ➡ 2/3、または解雇等なしの場合3/4

⑥雇用保険被保険者でない労働者や、雇用期間6か月未満の労働者も対象

⑦休業等計画届の事前提出 ➡ 事後提出も可能


雇用調整助成金の手続き・申請書類

簡易版になっていますが、非常にわかりやすい資料です。ネットでは2月-3月頃の資料も混在しており誤解が出そうです。 今後も期間の延長や内容の追加・変更があるかもしれないので、常に最新の情報、厚生労働省が公表している情報に注意が必要です。

雇用調整助成金ガイドブック(簡易版)令和2年4月24日版
このガイドブックも4月13日付から4月15日付、更に4月24日付へ更新されています。念の為、このガイドブックが掲載されている厚労省サイトにもリンクを張っておきます。 

厚生労働省(労働局、ハローワークなど)は、支給迅速化のための事務処理体制の強化や手続きの簡素化に努力されているようですが、この申請書類を作り上げるには相当の工数がかかると思います。


備考

多くの中小企業・小規模事業者、そしてそこに勤務している従業員にとって、今月、来月のお金の問題が深刻です。 そんな状況の中で、全国で100万社くらいがこの申請書類を作成・提出し、お役所は審査を行うことになるのでしょう。 申請書類の作成、代理は社労士の独占業務なので、行政書士はお手伝いできないのが残念です。

少し余裕のある中小企業は、これから1年間のスパンで他の補助金・助成金も並行して申請することをおすすめします。そのために金融機関などでも使用されているシステムを使って、まず無料診断により獲得可能性を調べることが早道だと思います。 助成金・補助金・給付金は種類が多過ぎ(3,000種類)、問い合わせ窓口も多数あり過ぎて全体を把握している人はほとんどいないと思います。