![さくらい行政書士事務所 製造物責任法](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=469x1024:format=jpg/path/s52f410678a9c9ed9/image/iff1a54e4fe2f2355/version/1599353170/%E3%81%95%E3%81%8F%E3%82%89%E3%81%84%E8%A1%8C%E6%94%BF%E6%9B%B8%E5%A3%AB%E4%BA%8B%E5%8B%99%E6%89%80-%E8%A3%BD%E9%80%A0%E7%89%A9%E8%B2%AC%E4%BB%BB%E6%B3%95.jpg)
企業経営に影響を与える法律の6番目は製造物責任法です。製造物責任法とは、製品の欠陥が原因となって生命、身体または財産に損害が生じた場合に、その製品を製造等した事業者に損害賠償責任を負わせることを規定しています。
民法709条の不法行為責任(加害者の故意、過失が要件)と異なり、被害者が欠陥を立証すれば加害者は無過失であっても損害賠償責任が認められることが特徴です。
製品の欠陥が原因となって生命、身体または財産に損害が生じた場合なので、製造物自体の損害に留まった場合は製造物責任法の対象ではなく、民法に定める瑕疵担保責任や債務不履行責任の対象になると考えられます。
製造物の欠陥
「製造物」とは、製造又は加工された動産と定義されており、サービス(修理、配送など)やプログラムは含まれません。「欠陥」とは、引渡し時点で通常有すべき安全性を欠いていると定義されており、①製造上の欠陥、②設計上の欠陥、③警告上の欠陥。 警告上の欠陥とは、製品パッケージ、取扱説明書、使用上の指示や警告が不十分な場合を指します。 80年代、製造物責任という単語を初めて聞いたときの米国事例は、「猫を電子レンジに入れて乾かしてはいけないと警告されていない」ということに驚きを感じたことを思い出します。 よって、何が起きたのかというと、取扱説明書の警告を示すページが増えました。(誰も読まない文字、!マークだらけ)
責任主体
「製造業者等」とは、業として製造、加工又は輸入した者と定義されています。所謂メーカーだけでなく輸入業者も対象です。 加えて、「氏名などの表示業者」として、氏名だけでなく、商号、商標その他の表示した者や、当該製造物の製造業者と誤認させる者も対象となります。 他社に製造委託するOEM製品・ODM製品のプライベートブランドを表示した事業者ということです。
免責事由
製造業者等は以下の抗弁をして免責されることがあります。
(1)開発危険の抗弁:製造物を引き渡した時点の科学または技術に関する知見によっては欠陥があることを認識できなかったこと
(2)部品・原材料製造業者の抗弁:製造業者による設計に従って部品・原材料を提供しただけ、かつ部品・原材料製造業者が当該欠陥が生じたことについて過失がないこと
期間の制限(時効)
(1)短期消滅時効は、被害者又はその法定代理人が損害および賠償義務者を知った時から3年間。2020年4月施行の改正で、生命・身体侵害に関する場合は5年間とする特例が規定されています。
(2)排斥期間は、引き渡した時から10年と、不法行為に基づく損害賠償請求権の排斥期間の20年の半分と短いことが特徴です。
実務上のポイント
(1)製造物賠償責任保険(PL保険)を付与する場合、被保険者をどの範囲まで追加するか、リコール費用特約をつけるかなどを検討する必要があります。
(2)所謂メーカーだけが対象ではない事を認識し、取扱説明書や製造物本体上の警告などに注意が必要になります。