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売上減少した中小企業者への一時支援金(2021年2月5日時点)

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売上減少した中小企業者への一時支援金

緊急事態宣言の再発令から一か月、更に一か月の延長になりました。飲食店さんの大打撃に対し、感染拡大防止対策協力金が対象の11都道府県で実施されています。千葉県の場合は、営業時間短縮協力に対し、最大186万円まで支給されるようです。 一方、飲食店への原材料やサービス提供事業者、そして飲食店とは関係がない事業者との支援のギャップがあり過ぎることが理由でしょうが、「売上の減少した中小企業者に対する一次支援金、法人は60万円まで、個人事業主は30万円まで」が支給されるそうです。 要件や申請方法は現在検討中で、3月上旬に公表し、受付開始されるそうです。

 

対象

緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や、不要不急の外出・移動の自粛により影響を受け、売上が減少した中小企業者

①緊急事態宣言発令地域の飲食店と直接・間接の取引があること(想定は)、農業・漁業者、飲食料品、おしぼり・割りばしなどの財・サービスの供給者)

または

②緊急事態宣言発令地域における不要不急の外出・移動の自粛により影響を受たこと(想定は、旅館、土産物、観光施設、タクシーなど)

により、令和3年1月~3月のいずれかの月の売上高が対前年比、または対前々年比で50%以上減少していること。

①のおしぼり・割りばしって、やたら細かい想定ですね。また、②の不要不急の外出・移動の自粛により影響を受けた事業者って、ほぼすべての事業者ではないのかな? 対前年比がない、令和2年度に開業した事業者は対象外なのか? (去年11月開業し融資は受けたが、お客さんからの予約がすべてキャンセルになって茫然とされている飲食店以外のお客さんがいます。)

 

支給額

法人は60万円以内、個人事業主等は30万円以内で、比較対象月である50%以上減少した当該月の収入額の3倍まで。 

申請方法

持続化給付金同様に、前年・前々年の確定申告書、対象月の売上台帳などを使う考えのようですが、電子申請の方法がJグランツとは明記されていません。補助金関係はすべてJグランツによる申請を表明しているので、また持続化給付金や家賃支援給付金のような独自のわかりにくい電子申請を設計するのか(時間がかかる)と想像してしまいます。かと言って、Jグランツを使うには、GビズIDを取得するために印鑑証明書が必要、かつ2週間くらいかかるので、持っていない中小企業者がほとんど。即ち、Jグランツ使用可能者だけの施策になってしまいます。 

使いやすく、早く、正確であれば独自システムを組むのも一つの手でしょうが、結局人力で添付書類をチェックし、重箱の隅をつつくのではないのかと危惧します。上記①や②を証明するには、納品書、顧客名簿、売上実績など、家賃支援給付金の賃貸借契約書のチェックのようなことが始まったならば、とんでもない時間がかかる気がします。

 

備考

どこかの記事では、家賃支援給付金の予算の余りの2890億円を流用し、経産省がデロイトトーマツへ85億円で業務委任するとのこと。一時支援金の申請件数は100万件と想定。(一件当たり平均30万円支給だとすると総額3000億円ということ) 

令和2年度の補正予算の家賃支援給付金(締め切りは一か月延長)が余ったからというのは場当たり的な政策だと感じる。 日本中、家賃支援給付金の煩雑さによって怒りを感じた人は何十万人、何百万人とおられるでしょう。 不正防止に固執し過ぎて、余ったから、今回の緊急事態宣言で飲食店以外の事業者に少しだけ恵んであげようということのような気がします。更に、その委任業務を行政手続きのプロでもない外資系の会計コンサル会社へ85億円も出すということが信じられない。 高給取り社員ばかりのデロイトトーマツ自体で業務が完結できるとは思えないので、二次下請け、三次下請けに実務をさせ、使いにくいITシステム構築費など半分くらいピンハネするビジネスモデルを想像してしまいます。

持続化給付金以来、ずっと疑問に思っていることは、税務署にある各事業者の確定申告データをなぜ使わないのかです。マイナンバーが法律的に実務的に使えなくても、住所、氏名、電話番号で名寄せすれば、90%以上は正確なデータではないかと思います。もちろん売上の過少申告している事業者は多いでしょうが、こういう機会があるからきちんと申告する啓発にもなります。 毎年きちんと確定申告しているほとんどの事業者を業種分けし、今年の売上状況の確認のみによって、ほぼ審査時間ゼロで支給できないのか? 過去1年間の開業者や、確定申告でミスや個人情報に変更があった事業者に対してだけ、細々とした審査にした方が、よっぽど効率的だと思います。 

国会や政府が、国債や税金を使って予算化し、法令ルールを作り、外国の高級車を購入してアクセルを踏み込んでみても、行政の末端ではブレーキから足を離さない、地方ではそもそも自転車しか持っていなかったというような現象があちこちで見る気がします。逆に、事業者からの申告を待たずに、行政側が税務申告データを分析し、各事業者に対し、「コロナ禍で大変ですが、貴事業所は〇〇の条件だと〇〇の支援金を受けれますよ。ご相談はこちらへ、もう少し辛抱してください」などと積極的ご案内したら、どれだけの人が感動するか。たとえ少額支給であっても、そういう施策に接した国民が多い程、この国難に打ち勝つ原動力になるのではと愚考します。