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低感染リスク型ビジネス枠 小規模事業者持続化補助金申請のオンライン相談なら【さくらい行政書士事務所】

低感染リスク型ビジネス枠 小規模事業者持続化補助金申請のオンライン相談

毎年、小規模事業者(従業員5名以下、または20名以下)の個人事業主、または法人向けに持続化補助金が年間数回公募されています。 従来のものは【一般型】と呼ばれ最大50万円の補助金です。 コロナ禍の中で令和2年度は【コロナ特別対応型】が最大100万円として応募者が殺到しました。そして、令和3年度は【低感染リスク型ビジネス枠】としてやはり最大100万円の補助金(補助率3/4)として計6回公募されます。

 

ものづくり補助金、事業再構築補助金、経営革新計画などと違い、小規模事業者持続化補助金の事業計画はたった5ページなので、要領さえ掴めば、地雷を踏まなければ、採択の可能性が高い計画づくりができると思います。当職なりの事業計画の作成ポイントをだらだらと書いてみます。 Zoomによるオンライン相談はいつでもどこでも可能です。 公募要領などはこちらです。

 

本補助金の目的、補助対象経費の確認

まず最初に本補助事業の目的と何が補助対象経費なのかをしっかり把握してから構想すべきです。最初の第一歩から勘違いすると採択の可能性は低くなる、または対象経費に入れてもらえない事態になってしまいます。

 

(1)本補助事業の目的:「新型コロナウイルス感染症の感染防止と事業継続を両立させるための対人接触機会減少に資する前向きな投資を行い、ポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービス、生産プロセスの導入などの取り組みを支援するため、それに要する経費の一部を補助するもの」とされています。 

キーワードは「感染防止と事業継続を両立」「対人接触機会減少」「前向きな投資」ですね。 対人接触機会を減らし、既存事業を続けながら、前向きな新事業のシナリオを考えろということです。まずすぐに浮かぶのは「オンライン化」「テイクアウト」「三密をつくらない」などです。

 

(2)補助対象経費:①機械装置費、②広報費、③オンライン展示会費、④開発費、⑤資材購入費、⑥雑役務費、⑦借料、⑧専門家謝金、⑨設備処分費、⑩委託費、⑪外注費、⑫感染防止対策費

かなり広範囲な経費に使えるようですが、③の展示会費は一般の人を集める展示会はNGでオンライン展示会に限るや、②の広報費ではチラシ作成・発送費やDM費用、そしてHP作成費はOKなのですが、その内容が単に自社の全体的な宣伝はNGで、対象の新事業の内容に限るという制限があります。 この詳細は、毎回公募前に発表される公募要領をよく読んで、もし心配があれば事務局へ電話して確認した方が良いです。(事務局としてのコールセンター担当者は判断できないことが多いですが)

どの補助金にも共通している対象外なのは、①商品仕入、②光熱費、通信費、交際費などの一般経費、③人件費、役員報酬、④汎用性のあるパソコンなどが要注意です。

 

審査ポイントの確認

(1)要件審査:補助対象者(小規模事業者)であるか、提出資料が揃っているかなどです。

(2)書面審査:全体的には、補助金の目的に合っているか、その補助事業を申請者が考え・作成し、それを遂行する能力があるかが審査されます。 そして、事業計画の内容は、①経営状況に関する分析の妥当性、②経営方針・目標と計画の適切性、③補助事業の有効性、④積算(経費、売上収益)の適切性などが審査されます。

(3)加点ポイント:①緊急事態宣言による影響(30%以上の売上減少)、②多店舗展開している、③賃上げ表明などで、今後追加される可能性があります。 賃上げ表明なんてしている小規模事業者は稀です。しかし、その内容は、給与支給総額を年間1.5%~3%増加させる計画を持ち従業員に表明していること。または、補助事業完了から1年後、地域別最低賃金+30円~60円以上の水準にする計画を持ち従業員に表明していることです。そんなに高いハードルではないでしょう。

 

事業計画の作成

〈経営計画〉と〈補助事業計画〉合わせて最大5ページ(A4)で、Wordで作成し、最後にPDF化してアップロードします。下記(1)~(5)はもう決まっているタイトルなので、その中に書き込んでいきます。重要なことは、一か月で数千件の申請書類を審査する審査員に分かり易く表現することで、文字だらけ、空白だらけでは読む気が起きません。業界特有の専門用語は避けて、経営学の先生が好みそうな共通言語を多用した方が良いでしょう。

 

(1)〈経営計画、1.自社の事業概要〉 どういう経緯で創業から現在まで事業をしているかの沿革、ビジョン、エピソードを交えた特徴、現在の事業内容、強みだけでなくSWOT分析(強みを使って機会を捉えるなど)を言葉にすると今までの経営方針が文字化されます。 ここは、できるだけ小さな写真や図を使って、審査員がすぐに入り込める導入部分になります。

 

(2)〈経営計画、2.新型コロナウイルス感染症の影響・既に取り組んでいる対策〉 当職はまず売上(過去2年以上の月別か四半期別棒グラフ)に文字・数字や矢印を入れて、グラフをぱっと見ただけで影響が分かるようにします。影響は売上だけでなく、仕入や原価、販管費による営業利益などの増減も影響があるでしょう。また数字だけではなく、仕入先の状況、顧客の状況、市場の状況、競合他社の状況、自社の従業員やモチベーションの状況など、いろんなことを書くことができるでしょう。 そして、重要なポイントは、課題を抽出し、課題解決の一策として補助事業の動機とする点です。

 

(3)〈補助事業計画、補助事業名〉これはキーワードに注意して30文字以内に合わせることです。まず、このタイトルから考えてこの事業計画づくりを開始することが良いと思います。

 

(4)〈補助事業計画、補助事業の内容〉ここは書き方はいろいろありますが、意識することは具体性で、できるだけ図式化やグラフ化です。市場ニーズ、自社の事業領域(誰に何をどうやって)の明確化、自社の経営資源をいかに使うか・外部を使うかなども考え、各経費の必要性や価格の妥当性、スケジュール感、新事業の売上根拠(客数、単価など)。。。

経営計画の中のSWOT分析や経営方針の整合性などもチェックしながらこの補助事業内容を作ります。前述の課題解決になると審査員に納得してもらえることを意識します。

 また、経費総額の資金を自社資金なのか融資を受けるのかなどを明確に記載する必要もあります。

(5)〈補助事業計画、補助事業の効果〉売上計画や収益計画の定量効果の数字をグラフを作れば良いでしょうが、ここのポイントは相乗効果です。即ち既存事業のリソースを使った経営効率の向上や、既存事業の売上への好影響、新たな顧客開拓に結び付くようなことが書ければベストでしょう。

そして、定性効果は、従業員のモチベーション、顧客満足度の向上、社会貢献、更なる事業拡大への挑戦意欲など、夢を広げて書くことです。

 

実際の申請

Jグランツの電子申請ですので、GビズIDを取得していなければ申請者になれません。 実印証明を付けて郵送し、以前は2週間程度で取得できましたが、今は3-4週間かかっています。 このGビズIDプライムは将来の補助金やその他の支援を受ける際にも使えるIDなので、無料だし取得しておいた方が便利でしょう。

上記事業計画以外に、宣誓・同意書、確定申告書、B/S、P/L、履歴事項全部証明書など、個人事業主か法人かによって提出書類が多少違いますが、量は多くはありません。  

 今後の申請受付締切日、補助事業実施期限、実績報告提出期限は、

  申請受付締切日 補助事業実施期間 実績報告書提出期限
第3回 2021年9月8日 2022年6月30日まで 2022年7月10日
第4回 2021年11月10日 2022年8月31日まで 2022年9月10日
第5回 2022年1月12日 2022年10月31日まで 2022年11月10日
第6回 2022年3月9日  2022年12月31日まで 2023年1月10日 

補助金一般の補助事業の開始日は、給付額決定日以降なのですが、本低感染リスク型ビジネス枠は、2021年1月8日以降に遡及適用が可能(それも事前着手申請等の手続き不要)が特徴です。

 

備考

補助金一般の最大の注意点は、採択されても、その後の事業の実施(計画に変更があれば変更申請必要)、そして事業終了後の報告書づくりが大変です。経費ごとに、見積書、発注書・契約書、納品書・完了書、請求書、支払(銀行振込が原則)の書類を揃えなければなりません。内容によってはその写真などの証拠も必要。 そして、補助金の振込はこの報告書の審査が済んだ後なので、申請締切日からほぼ1年後ということになります。

 

この事業計画づくりでは、中小企業診断士の2次試験学習(過去10年以上分の40事例以上)が非常に役立ちます。出題者の気持ちになって書いて、どういう質問や判断が返ってくるかを予想するような作業です。 

 

当職の場合、①企業概要(パンフレット、HP、定款など)、②過去3期分の決算書、③市場情報や5Forces情報(競合、仕入先、販売先、新規参入、代替技術やモノ)、④最近の売上や社内情報など、あるものを送ってもらえれば、ざっくり内容を掴み、Zoomによるオンライン面談で、話し合いながら、補助事業内容を固めていく作業になります。 基本情報を持っていれば10時間程度でできることもあれば、50時間かけてもできないこともあるので、難しさは時間見積です。そして、必ず採決できるというノウハウはありません。

 

よくネットで、「基本情報をテンプレートに入れたら事業計画がすぐにできます、補助金採択率〇〇%」のような広告を出している業者がいますが、あれな嘘です、詐欺に近いでしょう。経済施策として事業内容を審査する補助金はそんな簡単なものはありません。