在留申請手続のオンラインシステム

在留申請のオンライン手続1

2022年3月から、日本に在留する外国人はマイナンバーカードがあれば、簡単に24時間いつでも、下記6種類の在留手続に限ってですが、オンライン申請が可能になっています。

 

その6種類とは

①在留資格認定証明書の交付

②在留期間の更新

③就労資格証明書の交付

④資格外活動の許可

⑤在留資格変更の許可

⑥再入国の許可

「外交」と「短期滞在」を除く何らかの在留許可を得て、何年も日本に住んでいる外国人ならば、何度か申請したことがある手続ばかりでしょう。 平日しか空いていない混んでいる入管に並ばなくて良い、郵送してくれる、行政書士に依頼する数万円から10万円以上の費用を省ける、継続的に複数人の外国人を雇用している企業にとって手続が簡単になるなどのメリットがありますね。

 

在留申請のオンライン手続2

必要なものは、在留カードとパスポートはもちろん、市区町村発行の最近話題になっているマイナンバーカード。それとパソコン(なぜだかスマホはだめらしい)とICカードリーダー(安いものでOK)。 

パソコン上のソフトは、Google Chrome推奨(なんでMicrosoft Edgeは推奨しないの?)、そして公的個人認証サービスサイトから「JPKIクライアントソフト」をインストールしないと、本オンラインシステムでマイナンバーカードが認証されません。添付書類はPDFでアップロードするので、スマホで画像を撮り、ネットで無料のPDF変換、そして複数PDFファイルの一結合をする手間が必要です。 スキャナー機能のある複合機プリンターがあれば作業し易いでしょう。

 

外国からは本システムにアクセスできないことが前提になっていますが、日本のIPアドレス限定にしているだけなので、物理的に日本国内に居なくてもできそうな感じがします。

 

左記2ページの簡単なパンフレットは小さな文字で英語併記ですが、実はこれ以外の利用案内などの資料は日本語だけのようです。 ひらがな併記なので、ある程度日本語が読める外国人が対象なのでしょう。

 

実際に入力してみると

在留申請オンラインシステム

 

上記「在留申請オンラインシステム」で実際に入力していきます。 日本語と英語の表示があり、「ログイン」と「利用者情報登録」に二分されています。ICカードリーダーにマイナンバーカードを差し込み、マイナンバーカードの認証後に、本システムにログインすることになります。

 

Step1として、「利用者情報登録」を行い、利用者IDと任意のパスワードを設定します。これは簡単です。

 

Step2、ここから驚くほど間抜けなシステムとの格闘が始まります。何度もサポートデスクに電話して質問しないと前に進まないのですが、平日5時まで、平均して30分程度待たされます。どんなところで躓くかというと

・申請者名は、半角英字(大文字)104文字以内で、スペースはNG、半角カンマを入れないといけません。南アジアの方はFamily Nameがいっぱいなのでスペルミスが起きやすいですね。これは在留カードの名前データと合わせるためなのでしょう。

・一方、配偶者、親族、法定代理人、同居者などの名前は、全角で入力し、全角スペースOK。何度入れてもここでエラーが出ます。 電話で尋ねると文字数制限があり26文字以内とのこと。そんなことはどこにも書いていません。 複数の名前がある外国人は、適当に短く省略してくださいとのこと。日本人の漢字名は、凡そ2文字から多くても8文字程度までなので、こういう雑なシステム設計になったのでしょう。

・申請者名、在日親族などの、住所、在留カード番号、在留期間、パスポート番号などの基礎データは何度も入力しなければならず、ちょっとイラつきます。(マイナンバーでログインしているのだから、何度も住所を入れなくても良いだろうなど)

・住所入力は、二段階で、都道府県と市町村の組み合わせを選択し、市町村名以下は任意入力。 都道府県、市町村、そしてそれ以下の三段階入力が一般的で、汎用性がありますが、わざわざ都道府県と市町村の組み合わせという数の多いデータベースを作ったのかと呆れます。

・申請内容によって、添付書類は違いますが、何枚あってもPDFで20MB以内の一つのファイルにしなければなりません。 どういう順番でも良いとのことを聞いたのですが、これも雑なシステム設計だと感じます。 申請メニュー毎に、必須添付ファイルを個別にアップロードし、特殊な書類はその他に纏める方が、審査する側も簡単で、データの保存やその利用がし易いのではないかと考えます。

・写真を添付する場合、わずか50KB以下の制限があるので、サイズ変更をしなければなりません。 たいして面倒な作業ではありませんが、小さ過ぎですね。後日、何らかの目的で顔認証に使う場合、解像度の高い写真の方が良い筈なのに、ただ在留カードづくりとしか考えていないシステム設計なのでしょう。

・データ入力画面は2ページ構成で、1ページ目の入力終了時は、上記の名前入力のエラーをクリアしないと次のページに進みません。ここではエラーメッセージが出るので、その部分が引っ掛かっているのかはわかります。 そして、2ページ目の入力終了時、2ページ分全体のエラーが出ると、どの部分のエラーなのかメッセージが出ないので、ここで諦めてしまう申請者が多いと感じます。尚、ここまでのデータはセーブできないので、一度ログアウトしてしまうと一からやり直しになります。 たぶん、2ページ分入力後に在留カードデータと入力したデータとの一致を確認しているのでしょう。ということは1ページ目終了時は、データ形式(全角・半角、大文字・小文字)だけをチェックしているのだと想像しますが、どのデータで入力ミスがあるのかがわからないので、ヘルプデスクに電話しても埒があかない状況に陥ることがありそうです。

 ・やっと申請が終わり、結果通知を受けても、「郵送による受領」としても、申請者が受け取る封筒や手数料納付書などをレターパックで郵送しなければなりません。 最初から窓口に並んだ方が早いかも知れません。

 

備考

最近、健康保険データや公金受取り銀行口座の入力ミスなどでマイナンバーカードへの非難が多いようです。 ミスされてしまった方にはお気の毒ですが、日本全国で約99.9%は不具合がないのだから、なぜそんなに騒ぐのかと疑問を感じています。マイナンバーカードだけでなく、マイナンバー制度自体を乱暴に非難し、廃止を訴えることは21世紀の現代人ではないような気がします。

そんなことより、マーナンバーカードによって各種行政サービス・システムが簡素化し便利になり、全体としてミスが減り、且つ行政側も管理し易く省力化するのことが目標でしょう。逆に、日本の優秀な行政機関だから、0.1%以下の人為的ミスしかまだ発生していないと高い評価を与えても良いと感じます。

 

一方、マイナンバーカードを使った個別行政サービスシステムとして、本在留申請オンラインシステムを例とすると、ITシステムの設計上の不具合や、ヘルプデスクやデータベースの運用の難しさ・忙しさが目立ちます。 注意書きが多く、その文章は専門家でないと理解できない内容が多くなっているようです。 基本的なシステム設計思想として、誰でもミス少なく簡単に早く使えるシステムづくりの意思が希薄なような印象です。たとえば、昨年の収入や納税情報は、マイナンバーで管理できている範囲は、わざわざ役所へ行って証明書を取る必要がないでしょう。社会保険の年金記録や健康保険の支払い、まだ任意だが銀行口座など金融データも連携すれば、在留許可申請がかなり簡単になるだけでなく、日本国内の生活安全にも繋がるでしょう。