外国人の在留資格の一つ、「経営管理ビザ」は日本で事業を起こし、その企業の経営を行い、事業の管理を行うための在留資格です。 他の働くことができる在留資格と比べてメリットが大きいのでしょう。 資本金500万円以上、または常勤職員2名以上のどちらかが必要という要件があり、たまに電話やメールで「資本金500万円出して会社を設立し、「経営管理ビザ」が取れますか?」という質問・相談を受けることがあります。確かにそうなんですが、どんな事業を起こし、安定的で継続的な経営を行えるか、申請時に添付する「事業計画書」の審査がポイントですよと助言しています。どういう経歴や学歴があり、日本で起業する動機、どんな経営資源があり事業領域や経営戦略、仕入やビジネスパートナー、市場の見方、販売先や競合他社状況、そして将来はどうなるのかなどを読み手に分かり易い事業計画です。一般に合理性、妥当性、相当性、実現可能性、持続性などが評価ポイントになります。
「経営管理」の更新申請の際に、出入国在留管理庁から「債務超過を解決するために専門家の経営診断・助言を受けてください」という質問を受け、顧問税理士さんに相談しても対応してもらえず、困った外国人が私のところに飛び込んでくることもあります。 基本的な対策は経営分析を行い、収益改善(売上向上、原価率低減、経費削減など)か資本増強(増資、不要資産の売却など)しかありません。
今回、「経営管理」の厳格化が来月10月中旬から施工されるとということで、どういう背景・理由で、どんな内容へ厳格化されるのかAIを使ってまとめてみます。
なぜ「経営管理」在留資格の要件が厳しくなるのか?(AIの回答です)
(1)「制度の悪用・不適正な利用の防止」
①実体のないビジネスの増加: 過去には比較的緩かった要件を悪用し、実態のないペーパーカンパニーを設立して、実質的な事業活動を行わないまま在留資格を取得・維持するケースが増加した。
②在留目的の偽装: 単なる日本への移住や滞在を目的とし、事業経営を行う意思が希薄な外国人が「経営・管理」の在留資格を利用する事例が問題視されている。
③公的医療保険制度の悪用: 不正な手段で在留資格を取得した外国人が、日本の公的医療保険制度を不当に利用する事例が報じられました。
(2)「日本経済への貢献度向上」という背景・理由もあるようです。
「量」から「質」への転換: 制度の厳格化は、数の追求ではなく、本当に日本経済に貢献する意欲と資金力を持った質の高い起業家や事業家だけを呼び込むことを目的としています。
質の高い事業の促進: 資本金や事業計画の審査を厳格化することで、持続可能で安定した事業を日本で展開する外国人を優遇する狙いがあります。
(3)審査の適正化・厳格化
資本金要件の大幅引き上げ: これまでの資本金500万円という要件が他国と比較して安易であるとの批判があり、これが不正取得を助長する要因と指摘された。
更新時の審査強化: 更新の際にも、決算書だけでなく、事業活動報告書の提出を義務付けるなど、実際の事業活動内容をより厳しく審査が必要。
(4)政治的背景
世論や政治的圧力: 制度の緩さを指摘する世論や国会審議での議論が高まり、与野党双方から改革を求める声が上がりました。
(5)入管庁の対応: これらの問題を受けて、出入国在留管理庁は不正な申請を取り締まり、制度の適正な運用を図るために要件の厳格化に舵を切りました。
AI の回答には間違いが含まれている場合があるので、以上が本当なのかどうか、もっと別の背景・理由があるかも知れません。国会で審議され、ニュースなどで取り上げられてから、数か月で改正・施行されるスピードにはちょっと驚きです。
新しい「経営管理」在留資格の主要件
①資本金: 現行の「500万円以上」から、原則として「3,000万円以上」に引き上げ。
②従業員: 現行では「資本金500万円以上」か「常勤職員2名以上」のいずれかを満たせばよかったのに対し、改正後は「資本金3,000万円以上」かつ「常勤職員1名以上」が必須。
「常勤職員」とは、日本人または永住者などに絞られるようです。 要は一人会社だと簡単に会社を設立できる上、本当にその事業を行うのか信用が低いのでしょう。
③経営経験・学歴: 経営・管理に関する3年以上の実務経験、または関連分野の修士号以上が必要。
これらの主要件の変更に加え、事業計画書の外部専門家(中小企業診断士や公認会計士など)によるレビューも義務付けられる予定だそうです。
考察
「経営管理」更新申請の際に、入管から「債務超過を解決するために専門家の経営診断・助言を受けてください」というケースの時に、元の事業計画書と過去の決算書を見せてもらうと、「これじゃあ、安定した経営とは判断されないなあ」という印象を持ちます。そもそも元の事業計画書に、経営戦略やマーケティング戦略の内容が薄かったり無かったり、合理的な売上見込や収支予想の計算が不十分・単純過ぎたり、事業領域すら曖昧なケースもあります。一方、B/S上で債務超過であっても、出資者・経営者からの借入金が多かった場合、それは自己資本と同一視しても良いのでは考えられるケースもあります。
業種や商慣習、そして事業者の力量・経験によっては、肌感覚で商売が上手な人は多数いるでしょうが、よくこんな内容で入管が「経営管理」の許可を出したと呆れることもあります。 審査の運用に問題があるのではないか、審査件数が多過ぎて書類の表面的なチェックだけで済ましているのではないかと推測します。 もし、そうならば、要件を厳格化しても同じような問題が続くのではないでしょうか? 難しい問題ですね。
また、これらの厳格化は、新規申請だけでなく、2025年10月中旬以降に行う更新申請にも適用される見込みという情報もあります。 「経営管理」の許可件数は累計4万件強とのデータがありますが、これから増資や常勤職員の雇用を行わねばならない外国企業がどれくらいの数になるのか、かなり混乱するのではないかと予想します。
申請取次行政書士兼中小企業診断士の当職としては、これから経営管理の相談が増えるだろうと推測します。
支部の行政書士向け「事業計画書作成のコツ」無料セミナーも検討しようと思います。
令和7年10月11日追記
昨日10月10日、在留資格「経営・管理」に係る「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」及び「出入国管理及び難民認定法施行規則」の一部が改正されました。施行日は来週10月16日です。 パブリックコメントもやっていたようですが、事前に公表されていた案とほぼ同じ内容です。
今後、新規申請だけでなく更新申請でこの許可基準をクリアできるかが問題になる外国人経営者が続出することが必至です。
令和7年12月4日追記
経営管理ビザの新規・更新のための、中小企業診断士・税理士等による事業計画書の確認について、同業者さんからの問い合わせが何件かあったので、当職見解を追記します。
問い合わせのパターンは、「どのような確認が必要か、具体的な項目やガイドラインのようなものがあるのか」です。入管や法務省からそのようなガイドラインは出ていないと認識していますが、一般に事業計画書は融資申請や補助金申請、または許認可申請で求められる基本書類であり、経営者なら作成することが当たり前でしょう。その内容は、企業概要、ビジョン、事業内容、SWOTと経営戦略(成長戦略、競争戦略)、組織や人的資源管理、マーケティング戦略、売上収益計画、リスクと対策などが項目になり、合理性や実現可能性の観点が重要。そして経営管理許可要件の確認が必要になるでしょう。しかし、欧米系ではないアジア人にとって、その纏め方や市場データの収集が難しい作業になるようです。
また、別の問い合わせというか相談として、中間業者が必要データを入手し、必要事項を一定のフォーマットで作成するので、中小企業診断士としての確認書だけを発行できないかということもありました。 かつての事業再構築補助金における経営革新支援機関の確認書のようなイメージなのでしょう。 どのような事業者なのか直接コミュニケーションも取らずに事業計画の助言はできないでしょう。また、「中小企業診断士協会が定める倫理規定」第16条 名義貸しの禁止(会員は、会員以外の者に自己の名において診断業務を行わせてはならない)に抵触する可能性があります。
これまでは事業計画書は誰が作成してもノーチェックだったことが、ペーパーカンパニーのような事業実態の無い法人を使った経営管理の在留許可を取得してきたのでしょう。
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