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相続税ってどれくらい?(3) 相続税の申告・納付・相続時精算課税制度

さくらい行政書士事務所 相続税(3) 相続税の申告 納付 相続時精算課税制度

相続税ってどれくらい?(1)」と「相続税ってどれくらい?(2)」で、大概の相続税の計算がわかったような気になりますが、いざ申告書を書こうとすると、税務署でもらった申告書と説明書の量にびっくりします。どこから書き始めたら良いのか、分かりにくいフォーマットです。

ネットで無料の申告書作成サイトはありますが、申告内容が正しいかどうかの保証はされませんので要注意。しかし、使ってみるとデータの流れが見えてきて、申告書作成に役立ちます。

 

(1)相続税の申告ポイントは
①提出期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内。
②提出先は、被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署長。
③配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を受ける場合、たとえ納税額がゼロであっても申告が必要です。
④申告までに遺産分割が行われていないと、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を受けることができません。他にも申告ポイントはありますが、相続サポートセンターのサイトは詳しく分かりやすいのでご参考にしてみてください。

(2)相続税の納付:相続税の納付期限は申告書の提出期限と同じで、金銭一括納付が原則ですが、延納や物納も認められています。なお、複数の相続人の内、誰かが納めなかった場合、相続人全員が連帯責任を負います。
①延納は、延納申請書の提出が必要で、相続財産が10万円超、担保の提供(100万円以下かつ3年以下の場合は不要)、延納期間は最長20年です。
②物納は、延納によっても10年以内に金銭納付が困難な場合で、物納申請書の提出が必要です。物納には順位があって、国債・地方債、不動産➡社債、株式、有価証券➡動産の順位です。収納価額は原則として相続税評価額なので、土地の場合は実勢価格の80%くらいの路線価になるので、売って金銭で納めた方が良いケースが多いでしょう。

(3)相続時精算課税制度
親世代が持っている財産を早めに子世代に移転できるように贈与時の贈与税を軽減し、その後相続が起きた時に、相続分として合算して相続税を計算するややこしい制度です。対象者は、60歳以上の贈与者(父母または祖父母)から満20歳以上の推定相続人(子または孫)への贈与。贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日の間に「相続時精算課税制度選択届出」を提出しなければ適用されません。 贈与時の贈与税は、2,500万円まで非課税で超えた分は一律20%の税率です。 これは贈与時に2,500万円まで贈与税を納めなくて良いが、相続時に相続財産として計算される意味です。 これは贈与税に比べて相続税の方が税率が低いので、できるだけ早く贈与して財産を有効活用しようという狙いです。 たとえば、1,000万円の贈与税は275万円に対し相続税は100万円、2,000万円だと贈与税は750万円に対し相続税は250万円と大きな差があります。因みに贈与税の基礎控除は年間110万円で、父母に限らず同じ年に複数人から贈与をもらった合計額です。

 

相続に関係しない贈与についても、さまざまな非課税措置があるので、後日ブログを書いてみます。(贈与税の税率が高過ぎるから、税率を下げれば良いのではないかと個人的には思います)