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一時支援金に関する意見陳述

さくらい行政書士事務所 一時支援金に関する意見陳述

令和3年1月~3月における新型コロナウイルス感染症の影響により売上減少した時短営業に協力した飲食店以外の事業者に対する一時支援金制度。4月売上以降の月次支援金も始まっていますが、この事務局の酷さには呆れてしまいます。

無料の事前確認は、6月に入ってもポツポツ申込があり、延べ約270件になりました。 しかし、その中の1割の約30人で、「書類不備による追加資料提出・再申請」の繰り返し要求が続いており、そのような方を被害者と呼ぶことにしています。その多くはフリーランスで、エステシャン、ミュージシャン、通訳、工芸家、芸術家などです。酷い例では10回以上も長文・難解なメールが入り、申請者によっては心が折れてしまう人や、泣き出しちゃう人もいます。

 

以前、5月上旬、「一時支援金の事前確認に関する意見陳述」を内閣府、経済産業省、総務省へ送りましたが、今月は6月19日と6月30日に2回、下記陳述書を送っています。

 


6月19日付意見陳述

「書類不備による追加資料提出・再申請」自体は、申請者の簡単なミスもあるので不思議はありません。ただし、「取引先情報一覧」の書き方が分かりにくい日本語なので、事前確認の際は、その説明や法人番号検索の方法を教えることに時間が掛かりました。そもそもミスが起きやすい申請書類と言えます。

 

5月中旬頃から、悪質な「書類不備による追加資料提出・再申請要求」が始まったようです。それも2回、3回どころではありません。 事務局コールセンターに電話して不備理由を尋ねても不明、代わりの書類を提出したら別の要求が返ってくる、メッセンジャーでしかないコールセンター担当者も首をかしげる事例も多数。 要は、或る審査員に「その事業を本当に行っているかの疑い」を持たれたら、申請者が諦めるまで意味不明な「書類不備による追加資料提出・再申請要求」が始まります。完全に嫌がらせ(ハラスメント)ですね。

 

下記6月19日付意見陳述では、「不当な公権力の行使」と「行政行為の平等原則違反」を指摘しています。 本支援金は「一時支援金規則」によって、行政行為の「処分性」を否定しています。行政行為ではなく、民法で定める贈与契約だという法的解釈のようなので、こちらも法的に有効であろう内容と単語を使って主張しました。

 

「処分性がない」とは、行政事件訴訟法による訴訟や行政不服審査法による審査請求の対象外であることを宣言している意味になります。要は文句を言いたくても言うチャンスが与えられないということです。 そこで、よくこの規則を読んでみると「処分性がない」対象は贈与契約後の取り消しなどです。 そもそも、政府が決め、国会で承認された補正予算の執行責任を持つのは経済産業省中小企業庁。その中小企業庁から業務委託契約を結んだ外注先(デロイトトーマツ他)が審査を含めた実務を実行しています。 審査の過程において、書類不備による追加資料提出・再申請要求は、まだ贈与契約が成立する前の申請者の「本給付を受ける権利」を確定するJudgeです。何らかの基準を持ってJudgeし、求められればそれを公表することは当然の筈(行政手手続法)。 このJudgeのやり方自体に違法性ではないでしょうが(過去の給付行政に関する行政事件訴訟の判例より)、「不当な公権力の行使」が発生していると考えました。「公権力の行使」とは「行政処分」を含む広い概念です。 要は国の強い権力を後ろ盾にして、「あれ出せ、これ出せ、全部出せ、でも支給しない理由は言わないぞ」を繰り返していることを道理に外れた「不当」だと、または合理性が欠如していると指摘・主張しています。

 

また、270件の事前確認の中で、「個人事業主」「個人向けサービス業」「現金決済が主」「事務局が求める書類のほとんどがない」などの記録を残していると、約100件くらいはこれに当たりますが、約70件程度はスルーされています。 即ち、審査員によるJudgeに大きな差が出ていることは明白です。「行政行為の平等原則」というのは法令に書かれているものではなく、信義誠実の原則、権利濫用の禁止、比例原則(目的と手段のバランス)と並ぶ、行政法の一般原則です。 ネット情報によるとこの被害者は数万人になるのではないかという噂を見ました。 それぐらいの規模になれば、信義誠実の原則にも、権利濫用の禁止にも相当するのではないでしょうか?

尚、本ブログでJudgeと表現しているのは、判決という意味ではなく、野球のストライク・ボールの判定程度の意味です。個人事業主に「本当にその事業をやっているか」というのはそもそも範囲は広く、Judgeすること自体が難しいことを言いたい訳です。

 

6月19日 一時支援金の意見陳述

6月30日付意見陳述

6月19日付意見陳述に対して、内閣府と総務省からは受け取って拝読した旨の返事がありましたが、何も個々の事態は変わりません。 6月も下旬になると、事前確認件数が多かった5月末以降申請の方々から次々と悪質な「書類不備による追加資料提出・再申請要求」の相談が入りました。5月以前から嫌がらせを受けている被害者の中には郵便で最後通告のように「7月〇〇日まで書面回答」を求められる人も出てきました。 もう常軌を逸した状況が同時多発的に起きているようです。コールセンターにはここ2週間で300回以上電話をかけていますが、繋がりません。6月上旬までは個別事案について、たぶん20回以上、延べ20時間くらいは電話で話したでしょう。今は何の打つ手もありません。そして、被害者が増え過ぎて、個別事案の調査もできません。

 

今日、6月30日付意見陳述も何も変わらないのかも知れませんが、自分にできることの一つです。 誤字脱字もあるので恥ずかしいですが、補助金申請の合間に作って送りました。 

 

当職の主張は、個別に疑義があるのであれば、行政側が決めた規則(ルール)則り、中小企業庁長官による事情聴取、または立入検査をすべきとしています。現実感がない主張だとわかっていますが、今まで何度も中小企業庁総務課と話してきた結果として、最も筋の通った申請者側に立った主張だと考えています。

 

更に、付け加えたのは、このJudgeの結果が、たとえば東京都で明日から始まる補助金の要件になっていること。即ち、申請者である国民の権利の発生範囲が一時支援金だけに閉じないことです。これは元の考えに戻ると「処分性」が発生しているのではないかと考えます。「処分性」の判断は行政法の勉強の中で難解な部分で、理屈ではなく最後は判例を覚えるだけになります。 即ち、司法の判断に委ねるので、裁判してみないとわかりません。

 

下記では、「そもそも」として事業をやっていないことのJudgeの限界も突いてみました。 何の仕事をどこでしようが、どんなやり方でしようが、昼寝していようが、どれだけ得しようが損をしようが、これは憲法22条1項の職業選択の自由・営業の自由です(ただし、公共の福祉に反しない限り)。行政書士試験後、初めて憲法を読み返しました。 本人確認し、確定申告書を出し、ある程度の事業を行っている証拠を出しているのに、「本当に事業をやっているか疑い」を持つのは、その審査員の個人的偏見でしかないでしょう。または、昨年来の持続化給付金詐欺で恨みを持って復讐しているのかも知れません。そういえば経産省の職員まで不正していたことは笑いごとで済まされませんね。

 

6月30日 一時支援金の意見陳述

報道

6月28日付の全国商工新聞というマイナーな新聞に記事が出ています。他のマスコミもどんどん取り上げて欲しいと思います。

実は、このような「審査員」「事務局」の不当な行動は、一時支援金だけではなく、昨年の持続化給付金、家賃支援給付金、そして各種補助金の採択後報告までの間でも似たようなことが起きています。

 


考察

今日も数人の申請者から相談を受けましたが、アドバイスしていることは、①自ら申請取り下げをしないこと、②読みにくい不備メールの中、既に提出したもの、いくら要求されても無いもの、代替して説明できるものの三分して整理し、出せるものは出してメモ付きにすること、③最後通告が来てもその期日までに何らかの返事をすること、要は冷静になって諦めないことを告げています。

 

当職は、行政書士として申請者である国民と行政との懸け橋になり、信義誠実を貫き、国民の権利を擁護し義務の履行に寄与することを心掛けていいますが、何度も電話口の相手(コールセンターや中小企業庁職員)をいじめてしまったと思います。しかし、今後も続けます。

 

7月3日追記: 一昨日から、個々の被害者に届いた長文(凡そ2000文字以上)の不備メッセージの冒頭1000文字程度と、その被害者の状況を、上記意見陳述の宛先と同じところへ、一日一件送っています。 行政への様々な意見・苦情は毎日何千、何万とあるでしょうが、心ある行政官の誰かに届いて欲しいと願っています。

7月4日追記:昨夕、TBSで一時支援金の不備ループについて報道されていました。Twitterの画面を映した映像の中で私のTweetも0.1秒くらい見えました。取材に応じた人が本当に審査員の一人なのか説明内容に疑問を感じましたが、大手メディアが取り上げてくれたこと自体は良かったですね。

 

 

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コメント: 1
  • #1

    マミー (土曜日, 03 7月 2021 21:21)

    初めまして、記事読ませていただきました、こちらに掲載されていた全国商工新聞の記事にお世話になっている民商の方が参加されてました、私は店があるので断ったのですが、記事で言われてる様にうちも既に不備で12回返ってきています、最終返ってきたメールでは19年度、20年度全ての売上および領収書を全て出せといってきました、売上は既に提出、通帳の中身、新聞や公共料金の領収書、入ってる火災保険や食中毒の保険の契約書なども提出しています契約の所には屋号も入っています、それでも不備で返ってきます1度コールセンターに連絡するとこれ以上添付できないので1度削除してから新たに添付して下さいと言われました、そこまで提出していても不備で返ってきてしまいます、小さな個人経営の喫茶店です、毎日の様にスーパー等へ買い出しにいきます、勿論決まった大手の食品会社との取引もありますそれを2年分提出しろなんて横暴すぎますし、添付する場所もないのに…
    長文失礼致しました、改善される事を願っております