· 

事業復活支援金とは

岸田政権となり、令和3年度補正予算案の中で事業復活支援金が11月20日に閣議決定されました。2020年度の持続化給付金、家賃支援給付金、2021年度の一次・月次支援金に続く、国による事業者に対する給付行政ですが、また様々なトラブルが発生するのでないかと危惧します。

ネットやニュースで連日、事業復活支援金の情報を流すので、早速、当職へも問合せがいくつか入ってきました。しかし、まだ国会は開かれていません。現時点では政府の補正予算案というだけで、国会の衆参両議院で議論されて決定するもの。 その決定後、どのような要件、申請方法で行うかが検討されるので、令和2年度補正予算の例通りだと、早くても来年1月末からの申請開始になると予想します。 

 

申請要件(予想を含みます)

現在、下記の経産省中小企業庁のチラシ情報しかありません。

対象者は、飲食店に限らず、地域に限らない中小企業すべてで、フリーランスなどの個人事業主なので、確定申告(白色、または青色)をしている事業者ということですね。

売上減少要件: 令和3年11月から令和4年3月までの5か月間の内、どの月でも良いのですが、売上高が30%以上減少(月次支援金の50%より多くの事業者が対象)。コロナ禍が原因によって売上げが減少したという点がポイントです。

令和3年11月または12月を減少した月とすると、比較するのは令和2年か令和1年になるでしょう。しかし、令和4年1月から3月のいずれかの月とする場合は、令和3年や令和2年もコロナ禍の中になるので、令和1年とも比較できるのかな? 令和3年と比較する場合は、確定申告後になりますね。

給付額の上限は以下チラシのとおり。 ニュースやネットでは250万円という数字が出ていますが、これは法人の場合、且つ年間売上高が5億円超の、ほとんどの小規模事業者には関係がありません。この年間売上高はどの年度を対象とするのかもわかりません。

 申請に必要な書類は、過去2期分の確定申告第一表、青色申告決算書または白色申告の収支内訳表、売上減少月の売上台帳(手書きでもOK)、銀行通帳、身分証明などは変わらないでしょう。毎回思うことですが、マイナンバーで税務署データや住民登録データを引っ張ってきて、わざわざ確定申告書を添付したり、場合によっては納税証明書添付、そして本人確認も、やめて欲しいものですね。 デジタル庁に期待したいところですが、今のままでも、確定申告時点で還付したり、控除額を増やせないのかと疑問を感じます。

 

事前確認が必要なのか?

令和2年の持続化給付金や家賃支援給付金では、不正申請が多かったようで、経済産業省中小企業庁もそればかり気にしていたようです。よっぽど誰かが怒ったのでしょう。どういう不正が多かったのか詳しくはわかりませんが、断片的な情報によると、確定申告書の改ざん(悪質ですね)、事業実態がない(コロナに無関係で休業していたなど)、コロナ禍の影響ではないのに申請などなど。 既に検察が調べ、詐欺罪として立件しているケースも多いようです。 

その反省からか、令和3年の一時支援金からは、事前確認機関による「本人確認」と「事業を行っているかの確認」を主目的に事前確認し、事前確認番号が発行されないと申請者は申請できないプロセスを導入されました。 ところが、申請が始まっても「事前確認難民」が発生。 当初は商工会・商工会議所、税理士さん、信金さんなど1万者程度が事前確認機関としてリストアップされていましたが、個々の機関は会員のみや顧客のみの対応であったり、数万円の有料の機関もありました。 どこの機関ともお付き合いがない小規模事業者・個人事業主の中で、無料の事前確認機関を探しまくった方が「事前確認難民」になっていました。

 

次回の事業復活支援金には同様の事前確認が必要かどうか、まだわかりませんが、当職はどうしようか悩みそうです。 なぜなら、令和3年は4月から6月にかけて、無料のオンライン面談に問合せが殺到、月次支援金になってからも消極的に無料対応し、今月までに延べ300件を超えました。 一回当たり、問合せ対応、オンライン面談の日時設定・Zoom予約、当日15~30分程度面談、そして事前確認番号の発行と、平均して凡そ1時間は掛かりました。 人によっては、申請書類が揃っていなかったり、画面が見にくかったり、申請手順の説明に時間が掛かったり、面談設定ミスや時間になっても入って来られなかったりとまちまち。 加えて、300人中の約1割の30人程は、その後数か月間にわたり「不備ループ」の被害にハマってしまい、その相談や助言、そして事務局への問い合わせに、かなりの労力と時間が掛かりました。個々の申請者の状況を知れば知るほど、なぜ意味不明な不備が続くのか理解できないケースばかりでした。 現在もそれに悩んでいる方が多数おられます。

ご参考ブログ①

ご参考ブログ②

ご参考ブログ③

 

懸念事項

政府や国会が補正予算を決めても、実行するのは経済産業省中小企業庁。そして、実務は外注業者へ数百億円で発注し、その2次下請けか3次下請けが、事務局としてコールセンタ―または審査員の業務を行うのですが、その中には不適切な人間が多数入り込むことが最大の懸念事項です。 責任は、経済産業省中小企業庁なのですが、ここへ相談してもまったく変わりません。 政治家に相談しても無力です。 おまけに不当な行政行為として不服審査、または行政事件訴訟をしようとしても、「処分性がない」ということで対象になりません。 これって恐ろしいことなんです。 どこかの国の人権問題のような深刻さはありませんが、行政法の観点からすると強力な国家権力の下で、どこの誰か知らない性悪説心棒者が、訳の分からない理由を引っ張り出して、国民である申請者に嫌がらせをしているのです。コロナ禍の中で苦しむ事業者を助ける目的が忘れ去られ、真逆となってしまいます。そして、一部の事業者の国に対する憤りや怒りを呼び起こし、経済効果を減衰させていると言えます。

 

じゃあ、どうすれば良いかと考えると、申請者のミスが起こりにくい申請方法や合理的な運営への変更、何らかの疑いがあった場合の迅速な調査方法や救済方法、且つ、明らかに不当な行動を行う事務局員への懲罰などを行うことです。申請要件に合っているが、何らかの疑いがあれば、いったん給付し、すぐに検察へ情報を提供することも可能でしょう。 そもそも、今までの事務局は、一時支援金給付規則13条記載の「提出指導」以外の方法である「事情聴取」や「立入検査」をなぜ中小企業庁は行わないのかまったく理解できません。規則も法令の一つであり、法令に基づいて行政行為を行うことを無視していることに気づきもしていません。